フェラーリ試乗させてくださいの巻3「フェラーリのセールスマン」
試乗の日がきた。
この前のディーラーと同じで内装はきれいだ。フェラーリジャパンがイメージの統一を指導しているのだろうか。
受付嬢さんに、
「試乗の予約してます」
と告げるとセールスマンを呼んでくれた。しばらくクルマを眺めているとセールスマン氏が現れた。
しばし会話する。丁寧な言葉づかいで物腰もやわらかい。
高価格の輸入車ディーラーのセールスマンはみなイイ身なりをしている。スーツもクツも腕時計も高そうなものを身につけている。このセールスマン氏もそうだった。わたしは服にまったく興味がないのでいつもセールスマンより安っぽい身なりになる。
椅子をすすめられて飲み物を出される。すぐ試乗しましょう、とはならない。しばらくセールスマン氏と会話をする。この会話からセールスマンは、
「この人はホントに買ってくれる人なのか。代金を払える人なのか」
を見極めようとしているのだ。
これはフェラーリに限らず高価格の自動車ディーラーではみなやることだ。レクサスだって、メルセデスベンツだって同じだ。
失礼だと、怒ってはいけない。
彼らはクルマが売れてはじめて利益になる。説明する時間も試乗につき合う時間もクルマを売るためについやしているのだ。
だから、買う気がある客か、買うお金がある客かどうか見極めるのは絶対に必要なことなのだ。
「買う気のない客に買わせるのがセールスマンだろう」、と言う人もいるかも知れない。
「店に来る客すべてが買うわけはない、買うのはそのうちの何割かしかいない、セールスとはそもそもそういうものだ。対応に差をつけるのはおかしい」、そう言う人もいるかも知れない。
確かにそうだ。その意見は正しいと思う。
しかし、実際に買う気がない人が数百万、千数百円のクルマを衝動買いする確率はとても低いと思うし、セールスマンが成約する確率を少しでも高くする為に早い段階で客を見極めようとする気持ちもよくわかる。
わたしは営業の人に会うたびにこのセールスマンを不安な気持ちにしたり、無駄な期待を持たせることの無いよう気をつける。成果を上げてもらいたいと思うし、わたしから成果を上げられなければ早く他のチャンスを見つけてもらいたいと思う。
本題とずいぶんずれてしまった。
しばらく会話するうちにセールスマン氏も安心したようなので、458とF12に興味があること特にF12が候補だと話すとセールスマン氏はF12のことをいろいろと説明してくれた。このディーラーにはF12が展示されていた。458は前回も実物を見ているしこのディーラーにも展示されている。458の印象は代わらない。セールスマン氏がオフィスに資料を取りにいっているあいだにF12をしみじみ見る。今日初めて見るF12の第一印象は、
「デカい!」
458に比べるとダンプカーのようにデカく見えた。
「こんなデカいのか!」