フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「本革シートのどこがいいのだ!」

F12のシートは形状の違いはあるがすべて本革(もしくは例のアルカンターラ)だ。布製のシートはない。高価格車のシートは本革シートが定番になっている。むかしよりより定番化がすすんでいるみたいだ。

じつはわたしは本革シートがあまり好きでない。なんで本革シートが嫌なのか。まず本革シートは冬、冷たい。ひじょ〜に冷たい。わたしは寒がりで冷え性なのだ。わたしは痔ではないが痔は冷やしてはいけないそうだ。ある痔疾の友人は、

「寒くなりはじめに冷やしてはならんのよ。痔は。12月くらいから要注意」と言っていた

冬に肛門を冷やすのは駄目だ。

いつだったか、雪の降る日に駅で長時間、待たされたあげく本革シートの後席に座らせられたことがある。ガタガタと身体が震える状態で冷たい本革シートに座らせられて泣きたい気分だった。

「シートヒーター付いてないの?」と聞いたら、

「すみません後席はシートヒーターないんです」

◯ッ◯◯自動車の最高級サルーン、をうたうクルマがこうだ。設計者が日常で本革シートを使っていないから最高グレードにも関わらずこんな設定のクルマを平気で売っちゃうのだ。◯ッ◯◯自動車には寒がりで冷え性の役員はいないのだろうか。

「ホントにクルマの運転してる人が設計してんのか?」と聞きたくなることがある。サプライヤーや機器メーカーが持ってきたものをただ取り付けてるだけじゃないか、と感じるクルマも多い。

しかし、そういうクルマにかぎって、「私が設計主幹でございます」と、雑誌のインタビューに顔写真入りで出てたりする。本人の意思で雑誌に出ているわけではないかもしれないが滑稽だと思う。

 

話しがそれてしまった。多くの本革シートにシートヒーターが装備されるようになったが、シートヒーターは暖まるのに時間がかかる。早いもので2、3分。遅いと7、8分かかるクルマがある。そしてたいていのシートヒーターは平面座面と背もたれ中央しか熱線が入っていない。シートのサイド部にはヒーターが入っていない。太ももの外側は冷たいままだ。

本革シートは夏も不快だ。背中も太ももも汗でびしょびしょ。一部の本革シートにはベンチレーションが導入されているが、その風量は多くの場合物足らない。かすかにホヨホヨと風がでるくらいだ。エアホッケーくらいピューピュー出てもらいたい。

本革シートはたしかに見た目は高級感がある。柔らかい本革を使ったものは触り心地も良い。でも機能的にはまだ完成されたとは言えない。

 

理想は革ではなく高い通気性がありエアコンの暖気がシート内に送り込まれるのが良いのではないか。暖気の温度や暖まる位置が変えられるものが良い。熱線を使うよりバッテリーの負担も少ないだろう。シートの外側(窓側)から暖気が出ても良い。冬は窓側の腕や腰が冷えることが多いからだ。

夏も通気性の高い布面から風が出たり、熱気を吸い込んでくれるような機構を付けられないだろうか。(だんだん無い物ねだりになってきたなぁ…)

以前も書いたが欧米の自動車メーカーは既存の高級高品質のイメージにこだわっている。本革=高級の概念を変える高級ファブリックシートを作ってはどうか。

東レはアルカンターラで本革自動車シートのマーケットに食い込んでいる。こんどは高級車のシートに採用されるシート用ファブリックを作ったらどうだろう。