フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「フェラーリF12 生産日程が決まりました。」

ディーラーのセールスマン氏から連絡があった。

「『フェラーリ本社から◯◯さまのF12は◯月の生産する』と通知が来ました。」

「ふ〜ん◯月。◯月のいつ頃? 初旬? 中旬? 下旬?」

「そこまではわからないですね…」

「仮に初旬に生産したとして完成出荷は何週間くらいかかるの?」

「それはちょっと…。生産開始から1ヶ月くらいかと…」

セールスマン氏は口ごもっている。わたしはかなりせっかちらしい。あまり質問しては迷惑をかけるようなのでやめた。

生産が決まったといっても、カローラみたいのその日のうちに完成するってことはないだろう。生産開始から3日か、一週間か、3週間か。3週間だったら初旬の生産開始か、月末の生産開始かでずいぶん状況がかわる筈だ。生産開始から完成まで、そして船積みまでどれくらいの期間かかるのだろうか。

想像だが、船便は欧州のいずれかの自動車メーカーの車両運搬船に相乗りする筈だ。毎日のように欧州からアジア向けに船は出さないと思う、おそらく数週間に一度の筈だ。車両運搬船にはVWやアウディやBMW、メルセデスベンツといった台数の売れるメーカーとともにフェラーリやポルシェといった少量販売のクルマも相乗りするのではないか(このあたりの事情にくわしい方はぜひ教えていただきたい)。

テレビなどで見る車両運搬船の積み方は、車両間のすき間が数センチしか開けないきわどいものだ。

VWなどもおそらく同じように積むはずだ。フェラーリやランボルギーニもあんなギチギチにすき間を詰めて停めるのだろうか。

数ヶ月前にイギリスで車両運搬船が座礁したと報道されていた。ロールスロイスを運搬予定だったそうだ。船体がヨコ倒しになり船底が見えた写真が掲載されていた。ニュースではロールスロイスを積む前だったと報道されている。あの写真の角度で座礁したらアンカーで固定していてもクルマ同士で接触しただろう。何十台というロールスロイスが船内で接触キズや凹んだらとしたら修理代はいくらかかるのか。保険会社は真っ青だった筈だ。

 

自動車メーカーはデリバリーコストを可能な限り落としたい。デリバリーにお金をかけても仕方がない。製品にお金を(コストを)かけることは顧客からの見返りが期待できる。「品質がいい」、「かっこがいい」。製品のお金をかけることで競合製品より販売を多くする事ができたり、高価格で利益率を向上させられたりする。でもデリバリーにコストをかけても顧客には見えない。納車されたクルマがどれほど危険な運搬をされていても、傷がついていたり壊れたりしていなければ顧客には見えないのだ。運搬にかけるコストは極限までおとそうとするだろう。

そういえば私が若い頃、海運事故で海水をかぶったフィアットX1/9数百台(おそらく数百台だったはず)が安価で売り出されて自動車雑誌で話題になっていた。実際に売れたかどうかはわからない。たしか通常のX1/9の価格から30万円くらい安く販売されたと記憶している。

「海水かぶっていたらすぐサビちゃうよ。車体からなにから全部バラして塩分をとらないと2、3年で赤サビだらけだね」、と近所の自動車整備工場のお兄さんが言っていた。

当時からイタリア車はサビやすいと言われていた。ましてや海水をかぶったX1/9。買った人がいたのだろうか。