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フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「フェラーリのキーは安っぽい 」

試乗させてもらった時のことを思い出した。

セールスマン氏の運転で試乗コースを一周しディーラーにもどり助手席から運転席に乗り換えた。その時、手渡されたF12のキーはびっくりするほど軽かった。

ちょっとオーバーな言い方だが、紙のように軽い。

このフェラーリのキーは塗装仕上げになっていて、片面にフェラーリの跳ね馬のレリーフがはめ込まれていて、もう片面にはドアの開閉、トランクの開閉ボタンがついている。

「やけに軽いキーだな」、

じっくりとキーを観察しているわけにもいかず、そそくさとキーを差し込みステアリングのスターターボタンでエンジンを始動させたのだが、あのフェラーリのキーの軽さ、安っぽさは印象に残った。

まぁ、安っぽいキーで4000万円のフェラーリを動かすのと、立派なキーで110万円のコンパクトカーを動かすのと、比べても意味がない。キーの価値はクルマの価値に等しい。

 

ただ、キーそのものの機能を考えればフェラーリのキーは問題がある。

クルマに限らず鍵というのは過酷に扱われる。キーホルダーに入れられれば他のキーとこすれ合う。まさに金属どうしがゴリゴリとこすれ合う。ポケットから取り出されれば机の上に投げ出される。

そうした意味で鍵は腕時計やスマートフォンよりももっと過酷な使用環境にさらされる。

ふつうそうした仕様環境が想定されるクルマのキーを塗装仕上げにすることはないだろう。

樹脂に塗装されたフェラーリのキーの表面硬度はせいぜい鉛筆硬度2H程度。金属のこすれ合う状況ではキズだらけになってしまう。

ふつう自動車メーカーでデザイナーが、

「クルマのキーを塗装仕上げでデザインしたいんですが」、

と言ったら、上司は

「塗装ははげるからだめ」と駄目だしするのではないか。

フェラーリのキーが塗装仕上げなのは、あの鮮やかな赤の発色が樹脂成形色で再現できなかったためであろう。樹脂成形に着色(成形前の樹脂ペレットに色を練り込んで発色させる)ではにごった赤になるからだ。

…で、キーを塗装仕上げにしちゃった。

勝つためならなんでもやるF1で生きてきただけに思い切りがいい。

 

フェラーリのキーはスマートキーではない。くだんのとおりキーにドアとトランクの開閉ボタンがあって施錠・解錠をする。試乗の時は気にならなかったが普段使うと不便に感じるかもしれない。

 

スマートキーに慣れて平日キーをカバンに入れて運転していると、休日にドアハンドルに触れても解錠しない。ここで初めてキーを持たずにクルマの乗ろうとしていたことに気付く。

そそくさと部屋にキーを取りに戻るというのはなんとも間抜けで恥ずかしい。

クルマに笑われているような気になるのはわたしだけか。

 

ドアロックの開閉はスマートキーが便利だと思うが、プッシュボタン式のエンジンスタートは好きではない。やっぱりキーをシリンダーに差し込んで回してスターターを始動させる方が儀式っぽくていいと思う。

始動がプッシュボタンだとキーの存在感がほとんどなくなる。

 

今までいろいろなクルマのキーを持ったが、よいと思ったのはアウディのジャックナイフ式のキーだ。重みも大きさもちょうど良かったと思う。ボタンを押すとシャキン、とキー部分が飛び出てくる。ちょっと秘密兵器っぽくてよいと思った。

日産はマーチもフーガも同じスマートキーだ。先に書いたとおり、キーの価値はクルマで決まる。

でもフーガのオーナーが自分のキーがマーチと同じだと知ったら、どう感じるだろう。