「フェラーリF12 berlinetta納車さる! その8 スイッチいろいろ」
車庫の壁とF12の後端の間隔は1.5メートルくらいかと思っていたが、実際にクルマから降りて確認するとほぼ思ったとおり1.5メートルの距離であった。
どおやらF12は車体後方より前方の車両感覚がつかみにくいのかもしれない。
再びF12に乗り込み後退させる。あと50センチほど後退させ壁とF12の後端を1メートルの距離にする。
1メートルあればラゲッジから物の積み降ろしもできる。
自分の耳のあたりにある壁に目測をつけ50センチほど後退する。 ピッピッと警告音がする。おそらくパーキングセンサーだ。
左のメーターにF12の上面図が映し出されてそこにセンサーの検出図が表示されている。 ギアをニュートラルにする。ほっ、これで終了。
パーキングブレーキ…。
パーキングブレーキはステアリングコラム下のスイッチを押す。
このパーキングブレーキ。オートモードがついている(ようだ)。くわしくは説明書を読む必要がある。
スイッチを作動させるとメーター上にパーキングブレーキのインジケーターが点灯した。
エンジンを切る。
え〜とエンジンを切るには…。
ステアリング上のスイッチ…はスターターボタンだから…え〜と。
エンジンは通常のキーを回してOFFにする。
ステアリングコラム横のごく普通の昔ながらの位置にあるキーを手前に回してエンジンを切る。
車庫の中が静かになった。
穴蔵のような車庫の中から見るとおもての空がまぶしく見える。
ほっ。緊張が解けてほっとする。
「ふぇ〜、疲れた…」、
今日はF12のマニュアル一式を持ち帰ってゆっくり読むつもりだ。
一晩では読めないだろうし、覚えきれない。これからゆっくり操作しながら習得するしかない。
グローブボックスからマニュアルを取り出そう。
黒い本革製のケースだ。
さっきセールスマン氏の説明の時に見た感じではメルセデスやアウディのそれに似ていたように感じたが。
え〜グローブボックスは…。
グローブボックス…開け方が…取っ手が…ない。
取っ手がないということは…?
さっきセールスマン氏はどうしてたっけ? 落ち着け、落ち着け、グローブボックスの開け方にそんな複雑なことはしてない筈だ。エンジンかけなくてもグローブボックスは開けるし、いかにイタ車といえどもそんな常識外なことはない筈…。
外はまだ明るいがF12の社内は暗い。もそもそとグローブボックスのあたりを見回すと丸いスイッチにOPENと書かれている。
これだわ!
スイッチを押すと、キュンという音とともにグローブボックスが開いた。
グローブボックスから黒革のケースを取り出す。この中にマニュアルやらが入っている。車検証は別の薄手のこれまた黒革のケースに入っている。それにナビゲーションの取扱説明書もある。
このナビゲーションの取扱説明書はマニュアルや車検証が入ったケースとはまったく別の大きさで納めるべきケースはない。そのままはだかのアルパイン製の取扱説明書を渡される。
これらとは別にセールスマン氏からわたされた書類なんぞもカバンに入っている。意外と大荷物だ。
さぁ、帰るか…。
「ん…?」