「フェラーリコンシュルジュへ ようこそ」
家に帰るとなにやら分厚い封筒が届いている。
中を開けてみると、目にも鮮やかな赤、オレンジがかった赤に、
「Ferrari Concierge」、
なる厚さ2cm程のボックスが出てきた。
フェラーリ コンシュルジュ…?
そういえば、納車手続きの時になにやら説明されたやつではないか。
たしかフェラーリオーナーの為のライフスタイルサポートとかなんとか言ってたものだ。セールスマン氏に、
「メンテナンスサポートみたいなもの?」、
と聞いたところ、
「違います。オーナーの為のVIPサービスみたいなものとお考えください」、
と言ってたように思う、あれだ。
この鮮やかな(鮮やかすぎる)オレンジがかった赤は日本のインクじゃない、と思いつつ中を開けてみると、クレジットカード大のアルミ製のカードが出てきた。
厚み1mmのアルミの表にローマ字でわたしの氏名がレーザー刻印されている。
裏にはジャパンオフィスの電話番号が書いてある。
表記が+81 3**という表記だから日本で刻印したものでないのは明らかだろう。
クレジットカードに見えるが磁気情報もICチップも入っていないただのネームカードだ。
2cmもある箱は上げ底で入っているのは厚み5mmに満たない冊子とくだんのアルミカードだけ。
冊子の中を読んでびっくり。
なんだこの日本語は? と思う印刷文におどろいた。
以下、そのまま書き写すと、
QUINTESSENTIALLY LIFESTYLEがお「けするFERRARI CONCIERGEにようこそ
Ferrari Concirgeは、最高のサ「ビスを通してお客「の体「を豊かなものにするため
LIFESTYLEのマネ「ジャ「が365日「日24時間控えております。
いたることに、「 記号が入り込んでいる。
お「けは
お届け
だろうし、
サ「ビスを通してお客「の体「を豊かなものに、は
サービスを通してお客さまの体験を豊かなものに、だろう。
なんで「 が誤変換されているのかは不明だが、誰ひとり日本人が校正していないのは明白だ。
そもそもこのフェラーリコンシュルジュなるサービス、
Quintessentially Lifestyle(クイントセンティアリ? ライフスタイルと読むのだろうか)
という企業が請け負っているようで日本に拠点はなさそうだ。アジアオフィスは香港にあるらしい。
フェラーリの購入者は初年度の年会費は無料、次年度から有料になるそうな。
この冊子を見て利用したいと思う人はどれくらい居るのだろう。
ネイティブチェックも怠るようなこの会社に、
「豊かな体験をさせてもらおう」、
とする顧客はいないのではないか。
フェラーリの名を借りたビジネスだからフェラーリにはキックバックが入ると思われる。
フェラーリもライセンサービジネスをやるならば、管理はしっかりやらないと自身の名を貶めることになる。
ジェイムス・メイはフェラーリがライセンサービジネスにかまけていると嘆いていた。
(2016年1月29日)
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