フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「F12とカエルの学校」

また前回のつづき

自然公園(と思われる)駐車場にF12を停める。

エンジンを切ってドアを開けると水田からカエルの鳴き声が押し寄せてきた。

カエルの鳴き声を聞くのは久しぶりだ。

あぜ道を歩くと水田ごとにカエルの鳴き声が違う。田のあちらこちらからさざ波のように響いてくる。

40年前はこのカエルの鳴き声や虫の鳴き声、フクロウの鳴き声が身近だった。

わたしは別に虫や動物が好きではなかった。子供どうし遊ぶ時は付き合いで虫取りや田んぼの水遊びもやったが一人で行くことはなかった。

この地から引っ越してから、クルマがアスファルトを走る音の大きさにおどろいた。

新しい家は新興住宅地のはずれにあり、県道が50mくらい先に通っていた。夜、寝ていると県道を行き交うクルマのタイヤノイズが響いてくる。エンジン音よりタイヤノイズが聞こえるのが不思議だった。

夜、新しい家で遠くから響くタイヤノイズを聞きながら一人で寝る、

「ここは都会なんだなぁ」、

と思った。わたしにとって、夜のざわつくタイヤノイズは都会のイメージになった。

 

あと10分もしないで陽は完全に落ちる。

水田が近いので涼しさを感じる。 ほんの数分だがカエルの鳴き声を聞いてF12に戻る。こんなにじっくりカエルの鳴き声に耳を傾けたのは初めてかも知れない。

F12の車体から強烈な熱気がまだ発散されている。ドアを開けて乗り込むと車室のほうが涼しかった。

エンジンをかけ、窓を開ける。F12のエンジン音と排気音が土手に反射して戻ってくる。

F12は騒々しく、そして熱い。

なんの必要があってこんなにうるさいのだ。

なにがフェラーリサウンドだ。

ボーボーと低くうなり周囲を共振させ、異常な程の熱とガスと油が発している。

そういえば、前回、この地を訪ねた時はプリウスだった(たしか二代目のプリウスだったと思う)。

窓を開けて走る、アクセルを戻すとエンジンの音が途切れ、プツプツとタイヤが小石をはむ音と風の音だけが窓から入って来て、停止すると草がそよぐ音や虫や鳥の鳴き声、川のながれる音が聞こえてくる。

F12でここ訪ねたのは場違いだったと反省した。

そういえばYouTubeで流れるフェラーリはモナコの街中でこれ見よがしにアクセルをあおりエンジンを轟かせて走り去る輩の映像ばかりだ。

やはりフェラーリはこういう場所を訪ねるには不向きなクルマだと思った。

(辛気くさい内容だなぁ。フェラーリはわたしに向いていないのかも知れない)

 

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