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フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「中国の日本人自動車技術者 その3」

前回のつづき。日本の自動車会社の中国工場勤務(転勤)が終了し日本に帰任した後、会社を辞め中国の自動車関連会社に就職した50歳過ぎの友人。

「もしよかったら、一緒に仕事をしないか?」、

と、ビジネスプランを持ちかけられた。

今の中国企業の仕事とは別の副業として、ネット販売の中国現地バイヤーのようなビジネスを模索している、その日本側の窓口をやってくれないか、というのだ。

そうした仕事はすでにやっている人がいる、今更始めるのか? そうと思ったが意見を差し挟むことは避けた。

彼と彼のまわりにいる現地在住の日本人は、ある種のネットワークをつくり中国製品の個人貿易(日本向け輸出)のようなことをしたり、中国人相手に日本製品のブローカーをしたり、通訳兼コーディネーター兼トラブル処理業(一種の口利き屋)のようなことをしていたりするのだ。

こうしたネットワークで交わされている話しは、正規の商談ルートとは別の動きなので正直、あまり良いビジネスにはつながらないことが多い。話し半分と思っておいた方がいいのだ。(ただ、表に出てこない信用情報などを集めるときは有効で参考にする価値がある。もちろん脚色や悪意も混ざっていたりするので必ず裏をとる必要はある)

「日本に返るつもりはないよ」、

離婚して日本に住む家も処分し、住民票も抜いたというのは彼が帰国するつもりがないことを宣言したとも言える。でもこの言葉の半分は「日本に帰れない」という意味かも知れない。

彼は自ら選択してその道を選んだ。他人のわたしが何を言う必要はない。

わたしだって若ければ、そう30年前に彼のような人が身近にいたら、わたしも語学を勉強して海外に出て仕事をしたと思う。でもわたしはそんなことを思いつきもせず日本で、それも狭い地域で仕事をし、あれやこれやとうごめいてばかりいた。

「来年あたりベトナムに行こうかな」、

仲間の数人はすでにベトナムやタイ、フィリピンに居を移していったという。

「君もベトナムに仕事を広げないか。そうしたら俺が先に現地に入って仕事のセッティングをしてやるよ」、

そう持ちかけられた。

「技術はグローバルだ。たどたどしい一般会話でも技術用語がちゃんと話せれば仕事はできる。技術者の仕事は世界中にある。そうだろ」、

自分に言い聞かせるように言っていたのが印象的だった。

彼とはその後、連絡をとっていない。

彼のような人は日本企業が進出した国ではよくある話しなのだ。 日本で仕事をするか、海外で仕事をするか、どっちがいいか、それは人それぞれの考え方次第だと思う。いや、思うが…、しかし一方でこうも考える。

技術者はこの20年恵まれていない。

自動車だけではなく(実は自動車はまだ良いほうなのだ)、多くの産業の技術者の給与は上がらない。上がらないどころかサービス残業をやらされ、40歳前後でふるいにかけられ関連会社、下請け会社に移され、場合によってはクビを切られる。

数年来、円安で業績回復しているメーカーがたくさんある。しかし、サービス残業を見直したという企業はあまり聞かない。

正直言うが世界一、二を争うという自動車会社とその関係会社、ティアワン、ティアツーはどれだけ技術者にサービス残業させているのだろう。何千人、いや何万人という技術者の残業賃金を未払い(搾取)している。

なにが世界に冠たる◯◯◯自動車、なにが利益2兆円だ、と思う。

日本国内でクルマが売れない、スマホやゲームに奪われていると嘆く前に、サービス残業させた賃金を払うのが先ではないか。時給3000円の技術者に月間30時間サービス残業させたら月額9万円。年で108万円。2、3年で彼らが開発に携わったクルマが買えるではないか。

彼は自ら選択してその道を選んだ、と書いたが選択を迫るような状況にしたのは、企業側なのではないかと思う。

※ティアワン(Tier ONE)自動車メーカーに直接納入する機器・部品企業のこと。ティアツーはティワンに納入している企業のことです。為念。

 

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