「フェラーリF12ベルリネッタの価値」
F12でそれなりの高速を出したことでF12の性能の一端を見られたと思っている。これをもってわたしのF12に対する評価を固めようと思う。
フェラーリF12ベルリネッタの良さは、時速200km以上という超高速とか、100km/hまで3秒台という発進加速とか、一般道ではおよそ試せない高速コーナーリングとか、そうした運転をしないと価値を実感できないと思う。
何度かF12を一般道で相当の速度でコーナーリングをした(隠してもしょうがない。箱根ターンパイクだ)。
たしかにそうした時のF12のステアリングは軽いが剛性感があり遊びのかけらもなく正確無比。ドライバーの操作を余さずタイヤに伝えてくれる。サスペンションはほとんどロールを感じさせないが路面のうねりは確実にいなして車体を安定させる。エンジンはどんな急なこう配であっても一瞬の躊躇もなく増速する無限の力がある。
こうしたシチュエーションではF12はすごいクルマだと思う。これこそスーパースポーツカーだと思う。
しかし…。
しかし、それは制限速度をとんでもなくオーバーした速度であり、急坂に喘ぐ観光マイカーや、路肩の故障車、センターラインをはみ出して来ない対向車がいない前提で走る危険極まりない蛮行を犯して初めて表出してくるF12の良さなのだ。
F12はこの時しか良くない。こうして走り方をしなければ良くない。
F12は日常的な走り方で良い感触、心地よいポテンシャルを感じさせる仕掛けがまったくと言っていいくらい無い。
たとえばBMWやメルセデスのスポーツモデル(それにポルシェ)は日常の、それこそ40km/hで巡航していてもスポーツカーの心地よさがある。高速やバイパスの流入コーナーをいつもよりほんの少し速度を上げるだけで、なんとも言えない前後重力と横方向重力とタイヤの粘りを感じさせてくれる。
「やっぱりスポーツカーはイイなぁ」、
そう思わせるのだ。
自動車評論家やクルマ好きと言われる人たちは、フェラーリは日常においてもすばらしい、という。でも、わたしはF12を新車で購入して数千キロを自分で運転したが実感できなかった。
こういう結論になってしまったのがとても残念だ(こうなる予想はすこし前から感じていたけれど)。
念のためこの感想はわたしが所有するF12について書いている。458には短時間試乗しただけだし、現行の488には乗っていない。だからフェラーリについてどうとは言えない。
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