フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「20年前の高速アクシデント」

前回のつづき。

トヨタコロナ(1992年 - 1996年型 T19#型)の営業車で高速道路を走行中に居眠り運転をした。追い越し車線の真ん中に大きなアルミはしごが転がっている。居眠り運転のわたしの視界に入ってきたのは50m程のところ。とっさにパニックブレーキを踏み、ステアリングを左にきった。

 

パニックブレーキで荷重がかかった前輪はびっくりするくらいゲインが高かった。コロナは一気に左に向きを変え、強い右ロールを発生させながら走行車線に吹っ飛んで行った。この強烈な右ロールでわたしの首は瞬間的に右にかしいで右側頭部を運転席の窓ガラスにぶつけた。

コロナは走行車線から路側帯、緑地、防音壁めがけて突進していく。ブレーキは踏んでいるがあまり効いていない。わたしの目に防音壁が大映しになった。あわててステアリングを右に切り直した。

助手席に置いたアタッシュケースや後席に置いた営業資料がフロントグラスとダッシュボード当りに飛び散るのが見えた。背中に衝撃を感じたのはそのうちのどれかがシート背面に当たったからだろう。

ステアリングは左から右に切り替えしたがロールはまだ右側ロール。いわゆる逆ロールになっていたはずだ。コロナは今まで感じたことがない程、傾いている。いつもはほとんど見えないボンネットが見える。ワンテンポ遅れ遅れて左の最大ロールが起きるのがわかった。

この時、ブレーキペダルをどの程度の力で踏み続けていたか記憶にない。足はペダルから離れなかったはずだ。タイヤロックの音は聞こえなかった。頭を右ウインドウにぶつけたが、ステアリングをすぐ切り替えしたから手はハンドルから離れていなかった。

コロナは右に向きを変え、路側帯に飛び出るのを回避できた。逆ロールながらも右へ切ったステアリングが効いたのもある程度はブレーキを踏込めていたからかも知れない。

コロナはニ回の最大ロールの後、収束し二回ほどゆるやかに蛇行した。わたしは虚脱して走行車線を100m近く走ってから路肩に停止させた。

死ななかった、事故にならなかった。

安堵感と同時に、車内に散乱した仕事道具が見えた。アルミはしごを発見してホンの4秒、5秒の出来事で車内はこの有様になった。

そして自分のステアリング操作で頭をウィンドウにぶつけた情けなさが湧き上がってきた。

居眠りしてた…、気づくのが遅れた。

やっちまったという思いが強い。幸い事故にならずに済んだ。事故ったら会社への説明が大変だ。とりあえず、そうならなかった事にほっとした。

 

さて、あのアルミのはしごは危ない。ハザードを点けてコロナを降り、アルミはしごを見た。遥か後方150mくらい向こうに横たわっている。

壊れもせず横たわっているのが不思議だったが、あれをそのままにしておくのは良くない。

遥か向こうから車がやってくるのが見える。

やはりあのアルミはしごを除かねばならない。さりとてそれなりの重さと大きさがありそうだ。少ないとはいえ後続車が来るなか、あれをかついで路肩に寄せるのは危ないと逡巡した。