フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「自動運転狂想曲その3と街で見かけたF12」

クルマの未来に関するあるベテラン自動車技術者との茶飲み話、のつづき。これで終わり。

自動運転車の普及とスポーツカーの関係は?

「スポーツカーを好むユーザーの多くも自動運転機能の搭載を求めるんじゃないか。スポーツカーの多くは街中で使われているからユーザーも自動運転のメリットを享受したいと思うだろう。実際に自動運転を経験したらスポーツカーユーザーもその機能の付加を自動車会社に求めるんじゃないか」

(この人、BMW Z3に長らく乗っていたのであります)

「自動運転機能とスポーツカーは並立すると思う。ただ、ずっとドライバーがスポーツカーを求めつづけるかは疑問。スポーツカーの自動運転機能を利用したら、ドライバーはスポーツカーらしく使うシチュエーションがいかに少ないかに気付くんじゃないの。

ぼくは、疎遠になった友人といつしか音信が途絶えるように、自動運転を体験したスポーツカーユーザーは自立運転からどんどん離脱していくと思うよ。そしてそれは不幸かと言えばそんなこともないんじゃないかな」

そんなもんですかね…。

「音楽の楽しみ方だって昔と今とじゃ変わっちゃったじゃん。むかしは大きなスピーカーのまんなかで音場が立つ所で聞くのがたのしかった。でもいまはイヤホンで聞く。充分たのしいでしょ」

「都市部では個人所有が減ると分析してるらしいけど、俺は地方も大幅に減ると思う。自動車の販売網の見直しは起こると思う。ただ自家所有が減って自動配車、シェアリングが進めばクルマの稼働率が上がる。整備の需要は減らないと思うけどね。いずれにしても個人セールスが低くなる分、ディーラー網は統合されると思う」

この技術者曰く、クルマに関わる環境はこれから10年で激変していくそうな。ただそれが自動車会社にとって得か損か、自動車会社以外の産業(グーグルとかを指している)がどう動くか、まだわからないそうな。

「利便性だけで発展しないからね。企業利益がバランスしないとブレーキがかかる。崩されちゃう」

 

ついこの間、会社のクルマを運転しているときフェラーリF12が走っているのを見た。これまでF12を見たことは数回ある。でも遠くすれ違う程度のものだった。

F12はめずらしい。フェラーリの多くはV8ミドシップ458とか488とか360。12気筒を見かけることは少ない。でも今回はF12が私の真ん前を走っている。

都内某所の路地。幹線道路でも表通りでもない。むしろ裏路地と言っていい細い通り。夕暮れの買い物帰りの主婦や近くの私鉄駅から出てきた学生や通勤客が入り交じって両側の歩道からあふれるように歩いている裏路地と言っていい場所だった。

そのF12は歩行者とクルマが入り交じるその細い通りに交わる路地から出てきて私の前に入った。

「おおっ、F12だ!」、

ほとんど陽をなくした夕暮れの中、黒っぽく見えるそのF12はわたしのクルマの前に入ったところでライトをONにした。どうやら車体色は黒に見える。(もしかしたら濃いガンメタ系だったか)

やっぱり車幅の広さが目を引く。わたしがそのとき運転していたのはプリウス。視線の高さは普通のセダンのそれだ。