「さらばF12」
すでにF12はわたしの元にはない。
手放すことを決めてからは、びっくりするくらいトントン拍子に売却が決まった。
わたしには長年、クルマの世話をしてくれる人がいる。日本車、輸入車に限らずあらゆるクルマの売買、保険、整備を代理してくれ、回送、部品手配、車庫さがし、試乗車の手配、あらゆることを仲介してもらっている。
彼がいればディーラーにいちいち行かずともクルマが買えるし整備ができる。F12でもほとんど彼に頼りきりだった。時にはあまりにも彼を煩わすのが心苦しくて、自分でディーラーに出向いて試乗したりする。
でもそういう試乗はディーラー指定のコースを10分くらい走らされるだけ。お目付役で助手席に乗ったセールスマンの手前、好きに運転することはできない。
その試乗で印象が良いと、彼に連絡してもう一度、試乗車を手配してもらう。その時は試乗車を回送してもらって乗る。そうすれば2日間自由にクルマに乗れるのだ。(フェラーリはさすがにそれはできなかった)
F12は彼の手で引き取られていった。
いつものことだが、自分のクルマが走り去っていくのを見送るのはなんとも不自然な感覚がし、そして虚脱感がおそってくる。
フェラーリの廃車率は低いらしい。多くのフェラーリが長寿だという。10年後、20年後もあのF12は走り続けているかもしれない。
もしかしたらどこかでF12を見かけることもあるかも知れない。それほど悪目立ちするオプション選択はしなかったが、他にない取り合わせだからまず見間違うことはないはずだ。
その時、わたしはどんな感慨をいだくのだろう。
前記の彼は自分が仲介したクルマはすれ違っただけでわかるそうだ。一昨日も二年前に仲介したSLS(メルセデス・ベンツ)を見かけました、と言っていた。
F12を見送ったのは午前10時。まだ一日中残っている。PCを起動して撮りためたF12の写真を整理しようと思ったが、やめた。
F12がなくなった為、わたしの乗るクルマはごく単純なものになった。今後、時間は充分にとれる写真の整理はいつでも出来るのだ。
これからは気を遣う必要のない、F12よりはるかに身体に馴染んだクルマがあるだけだ。F12に乗った時間はそれほど長いものではなかったが、とても大きな存在感があった。良くも悪くも。
今はなんとも肩の荷が下りた穏やかで、そしてすこし寂しい気分がしている。
さぁ、いまごろF12はどこを走っているのだろうか、どんな環境のもと停められているのだろうか。
いままで読んでいただき、ありがとうございました。これからはペースを落として7日から10日に一度の更新になります。F12に限らずクルマについて気ままに書いていきます。F12について質問などあれば、可能かなかぎりお答えしたいと思います。
今後ともお付き合いのほどお願い致します。
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