「フェラーリを買った理由」
「F12を購入した理由を知りたい」、とのコメントが寄せられたので本日はそれを書きます。(売却した後で購入動機を書くというのもずいぶん間抜けだけれども、まぁ私らしくて良いかもしれない)
わたしが社会に出たのは1980年代半ば、世の中はいわゆる「円高不況」のまっただなか。1ドルが200円から150円なったとか、馬鹿学生のわたしにその意味は分からなかったがとにかく就職はきびしかった。就職難は前年から顕著になっていて就職担当の教師もさじをなげている状態だった。
やっとこさ就職したものの月給は手取りで9万円だった。ニュースでは大卒の初任給が13、4万円と言っていたように思う。
そのあと、世はバブル景気になっていった。バブル景気の時は仕事の忙しさはめっぽうだったけれど自分の収入には結びつかなかった。いま振り返ると景気の善し悪しから蚊帳の外に置かれた業種、賃金体系で仕事をしていたのだ。
都心で仕事をしていたから如何に景気が良いかはよくわかる。通勤途中で見る百貨店のショーウィンドウの値札、仕事で関わる展示会の様子、不動産展示場、マンション建築現場、あらゆるところで豪気な気分が漂っていた。(このあたりのエピソードは際限なくなるのでやめよう)
バブルがはじけたのち転職した。景気が悪く仕事が少なくなったのと、病気の症状が悪化したのが理由だった。その後、業種を変える大きな転職は2回した。このブログで営業車を運転して見聞きしたこと経験したことをいろいろ書いてきたけれど、それらはこの時期のものが多い。
バブル崩壊後,景気は緩やかに持ち直したかと思うとドスンと底割れした。底割れするたびによりひどくなる。結果的にわたしは30代半ば、社会に出て15年近く、年収300万円以下だった。やっと人並みの生活ができるようになったのは40歳になったころ。余裕がでて今のように好きなクルマが買えるようになったのは40代半ばになっていた。
以来、子供の自分に夢想したように色々なクルマに乗ってきた。
まずは、
3ナンバーのクルマに乗ってみたい(2リッター超えのこと)、
次は6気筒のクルマに乗ってみたい、
つづいて、3リッター超えのクルマ、
今度は輸入車。BMW、アウディ、メルセデスベンツ。
次はオープン。
次はミドシップ。
複数台を所有しながらほとんどのクルマは一年とたたず乗り換えて来た。
でもそうして気付くことがある。
「クルマの良さは割高」
Sクラスのメルセデスはいいクルマだ。けれども高い。クラウンに800万円足さなければあの良さは手に入らない。
800万円。
800万円の差はやっぱり高いのではないか。
800万円で別の何かをしたほうがいい。もっと貴重で価値のあるものが800万円で手に入る、そう思う。
かつての生活では考えられない、途方もない金額をクルマに使ってそう理解した。
では、見えてきた(おそらくその答えで間違いはない)その答えを確かめる為にフェラーリを買おうと思った(もしかしたら、大逆転の答えも出るかもしれないし、そうであって欲しいという気持ちもあった)。
最後にフェラーリを買おう。