「クルマの広告の記憶 その3 フェラーリ512BB 2550万円也」
カーグラフィック誌を買い始めたころはターボが流行していた時期で猫も杓子もターボである。サニーターボなんてのも発売されていた(TVコマーシャルは松坂慶子だったはず)。
フロントグリルに「TURBO」と裏焼きでレタリングする。バックミラーで見ると正転して読めるというのが流行った。
バックミラーで「TURBO」と読めたら道を譲れ、ということなのである。
後付けターボ(ボルトオンターボ!)の広告もずいぶん出ている。カーグラフィック誌ではなかったかもしれないが、他誌ではボルトオンターボ特集をよく掲載していた。しかししばらくしてターボは燃費が悪いと言われて流行は去った。
輸入車のチューニングカーが知られ始めたのもこのころか。BMWチューナーのアルピナが注目された。完成車のアルピナを輸入されるようになる前はアルピナ改造キットのような物が発売されていたと記憶する。輸入車がそれなりに普及し始めメーカー出荷車に飽き足らない人たちにアルピナやらハルトゲ(これもBMWチューナー)、メルセデスベンツのAMG、ロリンザー、ポルシェのルーフ、ゴルフのCOXなどが注目され取り上げられるようになった。フェラーリもケーニッヒなどがあったと思う。
広告に掲載されていた輸入車の価格を見る。
まずはフェラーリ ディーノ308GT4が995万円
308GTBが1170万円
308GTSが1230万円
この価格は当時の輸入総代理店コーンズの価格。このころ512BBと400iは並行輸入しか入って来なかった。ガレージ伊太利亜の価格で、
512BBが2550万円
400iが2450万円
となっている。
ランボルギーニは並行輸入しかなくガレージ伊太利亜のカウンタックLP400Sが2800万円と出ている。ランボルギーニはこの頃から業績不良で落ち目になっていった。後年、インドネシアかどこかの投資家に株式が譲渡された時はもう終わりだと思った。
ガレージ伊太利亜は他にも色々扱っていて
BMW635i(マニュアルミッション!)が1070万円
BMW635iA(AT)が1080万円
この型の6シリーズはカッコ良かった。これこそ大型GTカーだと思った。
ポルシェ911SCが990万円
928が1180万円
これは総代理店の三和自動車の価格。
メルセデスベンツSクラス380SELがヤナセで1236万円。
500SELは並行輸入しかなく1600万円前後。
輸入総代理店が扱う車両には最高グレードがないものがあった。BMWでは635は並行輸入のみで総代理店では633と733までしかない。メルセデスベンツのSクラスも総代理店のヤナセは380SELまでしか扱わなかった。
「日本の道路は狭いし高速道路も時速100kmしか出せないじゃないか。ハイパワーのグレードはいらないだろう」、
と本国の経営者が発言したという一文があったと思う。
価格を見ているうちに気がついた。このころのベントレーはロールスロイスのバッチ違いを作る有名無実のメーカーで価格はロールスロイスと全く同じ。
ランボルギーニもベントレー(ロールスロイスも)ドイツ人に買われて再生したということだ。
現状と比べやすい車種をいくつかあげると
ゴルフが185〜240万円(低グレードの2ドアから4ドアディーゼルまで)
BMW318が385〜400万円
カローラ4ドアセダン1500ccが92〜115万円
クラウン4ドアハードトップ(この頃、クラウンもセドリック(グロリア)も4ドアハードトップというスタイルを売りにしていた。通常のセンターピラーあり窓枠ありの4ドアセダンはオーソドックスな位置づけで、ピラーなし窓枠なしがスポーティーでパーソナルユースというキャラクターだった。先ごろまでクラウンではコンフォートではなくアスリートに当たるものか)2800ccロイヤルサルーンが310〜330万円となっている。
価格は物価上昇を考慮しなければならないし、メーカー毎の価格政策もある。一概に高くなっているとも言えない。
フェラーリの広告は記憶にないが、512BBが使われている広告を思い出した。次回、これについて書いてみる。