フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「デザインで記憶に残っているクルマ その2」

前回のつづき。

1990年型4代目カムリ、4代目コルサ(ターセル)

これも上のコロナと同時代のトヨタデザインでバブル景気の中にあたる。10代目コロナに比べるとオーソドックスな3ボックスデザインだったが、綺麗な曲面でまとめられていた。特にリアコンビネーションランプ周りとプレスドア(特に後部ドア)が綺麗だと思う。

それまでのカムリは発売されるたびにイメージが変わっていたように記憶している。コロナのラグジュアリー版とかスポーツ版というイメージだったり、実直なFF大型セダンだったりした。この4代目カムリは小セルシオのようなデザインだけれども余計なモール類を無くして面の綺麗さを見せた。これが新しい高品質なデザインなのだと思わせるものがあった。

同じ頃、売られていたコルサ(ターセル)の4代目のデザインもいい。特に3ドアハッチバックのデザインは良い。フロントウィンド上の角Rが大きくてしかもスムーズにルーフにつながっている。けして高価なクルマでは無いが綺麗さにこだわってまとめられているデザインだと思った。

デザインに詳しくない一般の消費者も、デザイナーが手間というか、工数をかけて練り上げた跡はちゃんと見抜くものだ。

80年代半ばから90年代前半のトヨタのデザインはレベルが高いと思う。初見では大したことのないデザインに見えたものが数ヶ月、一年たって目に馴染んでくると、バランスの良さや微妙に調整されたデザインであることに気づく。時間がたってから良さがわかる。これは優れた工業デザインに共通した特徴だと思う。

悲しいことにカムリもコルサも次の世代は貧相なデザインに逆戻りしてしまった。技術は進歩こそすれ退歩はしないがデザインは退歩することもある。

2001年型3代目プリメーラ

セダンの評価が高くデザイン賞も受賞しているけれども、個人的にはワゴンのデザインの方が綺麗だと思う。特にリアウィンドウ周りのボリューム感が秀逸でテールランプのデザインもとても良い。大型セダンをステーションワゴンにしているがそれがユーティリティ一辺倒にならずツアラーのような高級感が感じられるところが魅力で、シトローエンCXブレークのような雰囲気がある。

上の4車のデザインを評価しているが今、買いたいとは思わない。でもこの3代目プリメーラワゴンは今も買いたいと思う。

三菱 5代目ギャランΣ(1983年-1999年)、5代目ミニカ

評価が高いのは4代目かもしれないが5代目が良いと思う。イメージカラーは確か赤だったと思う。高倉健がCMに出ていたと記憶するがそれはさておき、このクルマが発売された80年代始めは前輪駆動化の時期で新型車はおしなべて新設計FFレイアウトをアピールしていた。

4ドアセダンと4ドアハードトップの2タイプがあるがデザインは4ドアセダンの方が良い。

毒気のまったくないクリーンなデザインが特徴で、後輪ホイールハウスの切り方はシトローエンぽくて力感のかけらもない。前輪駆動になったのだから後輪はサスペンションの動きだけで良い、だからスッキリシンプルにしておく、と言っているような気がする。グラスエリアを大きく水平にして、ルーフもトラックリッドも真っ平ら、曲面を感じさせないくらい大きなハリのある面でまとめたデザインは前輪駆動を選択した潔さ、潔癖さが表れていて良い。デザインは何を表すのか、それが直球で出ているのが良い。

同じ頃発売されていた5代目ミニカも良い。テールランプの周りの処理がスッキリしていて、軽自動車の小ささでもクリーンな感じがある。これも赤いボディカラーが生えた。

小型車の縮小コピーのような軽自動車ばかりの時代に面構成の綺麗なミニカは際立っていたと思う。