フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「デザインで記憶に残っているクルマ その5」

ランボルギーニ カウンタックのカッコ良さに気づいたのはスーパーカーブームになってカウンタックを様々な角度から撮影した写真があふれてからだ。

カウンタックのドアを開いた写真を見たのはどの本だったかポスターだったか忘れたが、左右のドアを上げて、エンジンフードを開け、低いカメラ位置から撮影した写真があった。色は黒か紺色に見えた。インテリアは記憶に残っていないのでブラックだったのだろう。このカウンタックも記憶に残っている。

もう一つ記憶に残るカウンタックはいとこの住む町のアーケード商店街の出店で買ってもらったパネル貼りポスターで、赤と白のツートンカラーのカウンタックだった。この赤白のカウンタックは見覚えのある人が多いのではないか。そのポスターは私が高校生になっても部屋に飾られていた。

スーパーカーブームが去ってしばらくしてカウンタックと512BBのケーニッヒ仕様だかが雑誌で取り上げられたと記憶する。カウンタックは車体色も室内色も白、ガラスにうっすらブルーが着色されていたのではなかったか。さらにその後、ル・ボランだったかにカウンタックの最終型とされる濃紺のカウンタックが取り上げられていたと思う。たしか室内色はホワイトであったと記憶する。

 

この前、ランボルギーニカウンタックは本で見ていたのだが写真が悪かったため記憶に止まらなかった、と書いた。だからスーパーカーブームでカウンタックやシロッコ、シルエットを認知するまでの間、わたしにとってのランボルギーニといえばエスパーダだった。

どの本であったか記憶にないが、エスパーダの広いガラスエリアで車室に明るい陽光が差し込んでいる写真があった。それまでこんなに室内が明るく撮影されたクルマを見た記憶がない。しかもファストバック(当時こういう用語はなかったと思う)でゆるやかに大きなリアウィンドウが寝ているデザイン。乏しい知識のわたしはこのファストバックスタイルをライトバンと同一視した。ライトバンは工事道具や三河屋のクルマという印象があったが、このエスパーダはかっこいいライトバンに見えた。外車にはこんなにカッコいいライトバンがあるんだな、そう思った。

私のカッコいいライトバン願望はテレビで見ていたヒーロー番組「トリプルファイター」に出てくるクルマに影響されていたのかも知れない。調べてみたらトリプルファイターの「SATカー」と言うらしい。このSATカーが劇中で砂ぼこりをあげて走る姿がカッコよく見えた。今あらためて見るとどこも似ていないのだが当時のわたしはエスパーダとSATカーが似て見えたのだ。

 

フェラーリ308GTBはどこかのショーでプロトタイプ展示された写真を見たのが最初だった。その写真はシルバーとレッドのツートンカラーで天窓から差し込んだ陽光で車体全体が黄ばんで見える写真だったと思う。わたしはこの黄ばんだボディ色が気に入らず365GT4BBの方を好ましく思った。特にどこかで見た紺色の365GT4BBの前後カウルを開けた写真に心酔した。この頃のフェラーリレッドは暗い印象で365GT4BBのつや消しブラックのアンダーボディに引っ張られてよりくすんだエンジ色に見えた。512BBの後期になってからアンダーボディもボディカラーがそのまま塗られるようになって印象は随分と良くなった。

フェラーリのついででひとつ。テスタロッサである。すでにわたしは社会に出て働いていた。世はまさにバブル景気一色の好景気だった。当時はクルマへの興味が最も遠ざかっていた時期でもあった。

わたしは平日、富士スピードウェイに行った。当然、レースは開催されていない。平日だからスポーツ走行に解放されている時間だったのではないか。ピットレーンから白いテスタロッサ が発進して行く。それまで雑誌でしか見たことがなかった。テスタロッサは数周してピットロードに戻ってきた。

と、にわかにヘリコプターの飛び立つ音が響き渡った。見上げるとメインスタンド上空をレイトンハウスのヘリコプターが上昇して行った。

いまをさかのぼること 30年以上前の話。