フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「デザインで記憶に残っているクルマ 7」

デトマソ マングスタも記憶に残っている。

丸目4灯のヘッドライトにフロントフードがかぶさって、けものが薄目を開けたように見える。うまいデザインだなぁ、と思った。ヘッドライトはクルマの目。人はクルマを擬人化というか擬動物化して見るのか、と妙にわかった気になる小学生(のわたし)。

角目4灯ヘッドライトがでてきたのはいつのころだろうか。わたしが記憶しているのは三菱ギャランラムダ(Λ)だった。この角目4灯ヘッドライトが出るまでは丸目2灯、丸目4灯のどちらかだった。で、わたしは丸目2灯より丸目4灯の方が高級で高性能だと思い込んでいた。いずれかの本で、四灯式ヘッドライトの中側二つはハイビームと言って遠くを照らす専用のライトなのだと読んだ。そこで二灯式はハイビームがないライトだと勝手に思い込んだのだ。

今や車両毎に専用デザインのヘッドライトがあたりまえで隔世の感がある。むかしは標準のヘッドライトで物足りず、後付けのランプがたくさん出回っていて、ドレスアップの要素だった。自動車雑誌の広告でフォグランプの広告がたくさん載っていたのを懐かしく思い出す。

マングスタの写真を眺めていてもう一つ、思い出した。

クルマってバンパーはなくていいんだな。昭和40年代、街中を走る日本車はバンパーがあるのが普通だった。ボディとはまったく別のメッキ製のバンパーが付いている。クルマがどこかに接触するとしてもまずバンパーがあたる、そう思っていた。

でもマングスタ。バンパーなんてない。ないどころかボディの先端がそのまま鋭利に尖っていてヘッドライトまわりのデザインにつながっている。ぶつけたらいの一番に華奢にとがったこの先端が凹む。なんてカッコよくて、なんて危なかっしいんだろう、そう思った。

 

ポルシェ928(前期型)。

最初は白い車体色の写真が多かったように思う。それまでカッコいい自動車デザインは尖っているとか絞っているとかそういうデザインが多いと思っていたが、この928はそれとは反対に、ふくれているというか盛り上がっている。

全体のフォルムもランプやウィンドウの切り欠きも丸くまとめている。デザインの細部がことごとくスムーズでモダンに造形されている。テールランプ周りのモールを綺麗にはめ合わせてある。細かいとこまで綺麗にしてんだな、とクルマ好き少年は関心した。

傍流の話しになるが928のカスタムターでタルガトップ仕様の928というのがあった(ネットで調べて見るとブッフマンポルシェなるもののようだ)。

928のファストバック部分がなくなってノッチバックデザインに変更されている。タルガと言ってもTバールーフ形状のデザインで、そのTバーの部分にオーディオが取り付けられいる。

雑誌で見たときは、その伊達さにしびれた。なんてかっこいいんだ。オーディオを頭上、Tバーの所に取り付けるなんて。

いまではカーオーディオはカッコよくもないが、当時のカーオーディオはそれ自体がカッコ良いものだった。シルバーやメッキがほどこされたカーオーディオのパネルやボタン、緑色や赤いランプ(LEDですな)。所狭しと並んだイコライザーの目盛りとレバー。これが自動車のなかに付いているだけで価値が全然、変わる。

小僧のわたしでもこの928のカスタムカーがポルシェのメーカーデザインに対して斜に構えていることがわかった。

クルマのデザインは本当に面白い。将来は自動車デザイナーになりたいなぁ、と思ったものだ。