「フェラーリ、試乗させてください」の巻
実物を見て、試乗せねばならない。
ディーラーを調べる。むかしはフェラーリといえばコーンズだった。しかし今は違うのだ。コーンズは総代理店ではないらしい。フェラーリジャパン株式会社がまとめているようだ。むかしは輸入車はヤナセや西武自動車など日本企業が輸入総代理店をつとめていたから隔世の感がある。
さてディーラーのサイトを見て試乗の申し込みをする。電話はしない。わたしは輸入車の試乗申し込みはすべてウェブサイトからメールで行う。
前回、電話でフェラーリディーラーの受付嬢に試乗を断られたらキズつく、と書いたがフェラーリでなくとも電話はしない。メルセデスもBMWもアウディも試乗の申し込みは基本的にメールでやる。電話かけるのが面倒くさい。
しかしほとんどの場合、返事は来ない。
自動車ディーラーはメールをチェックしないらしい。
対面で会話勝負の商売だからかもしれない。
以前、メルセデスとフォルクスワーゲンにメールで試乗の希望を送ったが、あまりにも返事が来ないので電話をした。フォルクスワーゲンはメールに返事をしていなかったことを認めて謝罪したが、メルセデスに至っては、
「メールで試乗希望を送られていたんですか? はぁ…そうですか。…で、ご試乗はいつがご希望ですか?」、
と聞き返してきた。メールの有無の確認もせず、送信した内容を気にするでもなく、
「で、どぉしたいんですか?」、
と言わんばかりである。
この態度には頭にきた。頭にきたけど試乗しに行った。試乗した後、お礼を言って帰ってきた。
このディーラーでは試乗だけして、他のディーラーに行って注文した。
メールに限らず外車ディーラーのWeb情報は信用度が低いと思っている。たとえば「今、◯◯店にはXXシリーズの◯リッターの試乗車があります。△△店には ◯シリーズのXX仕様の試乗車があります」と告知されている。しかしかなりの確率でその試乗車はない。情報が更新されていない。
確認で電話しても、
「当店にはありませんねぇ。現在、◯◯店にございます。◯◯店に行っていただくか、そうでなければ、少々お時間いただきますが当店に回送することもできますが…」
いや、Webサイトにはおたくの店に試乗車があるとでてるんだけど…。
言ってもしょうがないので◯◯店に行った。
外車ディーラーなんて、そんなもんである。
さて、フェラーリはどおだろう。
メルセデスやBMWなどドイツ車はディーラー網がたくさんあって気に食わなければ別のディーラーに行けばよいが、フェラーリはそうはいかない。ディーラーが少ない。選びようがない。
客がディーラーを選べない。
もしぞんざいな扱いを受けて、気持ちが萎えたらどおしようと思う。
わたしはそれほど気が強くない。さきほどの通り、内心腹が立っていても口には出さない。多くの場合、我慢する。
フェラーリディーラーが暖かく受け入れてくれることを望む。あまりぞんざいに扱われたらフェラーリを買うのをやめちゃうかもしれない。
ディーラーは決めた。
さぁメールだ。電話にしようか迷ったけれども当初の予定どおりメールにする。
「◯月◯日に試乗を希望します。試乗希望者種はF12ベルリネッタ、458イタリア、FF(一応、3車種入れた)です」
すぐに返事は来ないだろう、翌日返信が来たらラッキー、3日以内なら合格。そんな気持ちでメールを送った。
翌日、返事なし。「うむ、予定どおり」
翌々日、返事なし。「そんなもんだ。明日あたりか…」
翌々々日、返事なし。「案の定!」気持ち萎え始める。
4日目、返事なし。
しょうがないので電話する。
これがフォルクスワーゲンだったら、「馬鹿野郎。誰がフォルクスワーゲンなんか乗るもんか!トヨタで充分だ」で終わりである。
しかし、今回はフェラーリだ。フェラーリに怒っちゃいけない。相手はイタリア人だ。
ディーラーに電話する。
「すみません。あの…、メールで試乗希望を出したんですが…。担当の方いらっしゃいますか?」
(どっちが客だ、っう言葉づかいである)
電話に出た受付嬢とおぼしき女性は…。