フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「天津の爆発事故について」

中国天津で大変な爆発事故が起きた。

その後の報道では、官民の癒着に起因するずさんな危険物管理と災害発生時の消防活動のつたなさが原因らしい。

中国ですこし仕事をしていた者としては、

「たしかにあるだろうな」という感想だ。

(これらのことは7月22日と7月25日のブログに書いてあります)

危険物の届出は日本ではかなり厳しい。

消防署にも貯蔵物の種類や量は届け出させられる。種類、数量ごとに保管方法も指定される。抜き打ちチェックで貯蔵量や保管環境が調べられる事もある。最悪の場合操業停止を通知される(実際には注意と是正報告で済むことがほとんどだが)。

中国では許可や認証はきわめていい加減だ。

わたしは中国のいろいろな製造業を見て歩いたが、中国ローカル資本(外国企業の資本が入っていない企業。中国人が資本を出している企業)の環境や品質、安全に関する認証はほとんどと言っていいくらい信用できない。

なにが信用できないかと言うと企業が許可や認証を審査する機関を買収するからだ。

そんなこと可能なのか、と思うかも知れないが中国の許可、認証機関はお金をもらえばごく当たり前のように審査をゆるめるのだ。

 

わたしは素人だが何度も「これは危ない」と思う危険物の数量管理や保管環境を見たし、「一見してヤバい」という廃液処理を見た。ある工場を見学していたら火災が発生したこともあった。

児童労働も見た。(本題からズレるが児童労働のすべてのケースがおかしいとは思わない。学校が終わったあと、近くの工場で数時間働いて金銭を稼ぐことを一概に規制すべきではないと思う。もちろん強制した労働や危険な作業をさせることは違法で処罰の対象とすべきだが)

中国の工場を見ていて気になるのは、工場プラントの劣化が早いことだ。

配管のズレや腐食を見て、設備後20年くらいかな?、と思って聞いてみると、半分以下7、8年ということがよくある。

日本よりも劣化が早い。材質や表面処理のちがい、施工時の気配りなどが差に出るのだと思う。

そして中国は設備後の整備や修理管理がずさんなのだ。

 

中国では労働者を直接危険に巻き込むような違法行為はかなり以前から規制されている。(中国は労働者の党である共産党だ。表向きの労働者優先は党是なのだ)

しかし企業は直接的な労災にむすびつかない安全管理はあまり積極的でない。はたらく側の労働者も規則遵守にきわめて無頓着、無関心なのだ。

結果、双方の意識がびっくりするくらいの危険を生み出す。

 

中国は5年くらい前まで経済発展で国民を豊かにしながら共産党による一党独裁を継続する、というむずかしい舵取りをうまくやっていると思った。所得の伸びは国民の不満をうまくそらしていた。しかし、賃金の高騰は企業経営の足かせとなるのは必定だった。

その矛盾を解決するため過剰なインフラ整備や不動産開発にお金を振り分けた。

都市部では3年くらい前から不動産の過剰は目に見えていた。(建てればすぐに入居者で埋まったマンションが、売り出して半年、一年たってもガラガラ。明かりが灯らないゴーストマンションが急に増えた)

株式市場のバブルもはじけてしまった。

 

天津の爆発事故の原因は明らかになる事はないだろう。

中国の政治経済はかなり危ういバランスの上に立っていると思う。