「フェラーリF12 berlinetta納車さる! その6 リバースギアスイッチ」
「え〜とバックはセンターコンソール上のリバースギアのスイッチを…」、
なんか、違和感がある。
リバースギアに切り替えるスイッチは縦方向に並んだセンターコンソールスイッチの中で一番前方にある。
このセンターコンソールの3つのスイッチ。
一番前方がリバース、一つ手前がオート(ギア変速モードのオート)、もっともドライバーよりがローンチ。
この一番前方のリバースギアのスイッチは普通のクルマなら空調スイッチ類とかがある場所だ。手を伸ばさなければ押せない。シートポジションを後ろにとる人はこのスイッチを押すためにシートから背中を離すことになるだろう。実際、わたしはそうしなければスイッチに手が届かない。
ギアチェンジというクルマを動かす根本的なスイッチがこんな場所にあるのはなんとも間抜けな感じがする。 どうせ並べるならドライバー寄りからリバース、オート、ローンチなのではないか。
そもそもこのセンターコンソールのアーチ形のデザインは変だと思う。最初に見た時から違和感がある。
このデザインは好評なんだろうか。十年くらいしたら、
「あのころのフェラーリの内装デザインはひどかった」、
と言われるのではないか。
不満を言ったとてF12はバックしない。スイッチを押す。リバースモードのアラームが鳴り始める。
ウィンドウから顔を出すと、F12の車体の下から熱気が上がってくるのがわかる。
「あったけ〜」、
と思っているのもつかの間、ブレーキペダルから足を離しアクセルをふむ…、
「……!」、
ズルリ、とF12が前進する。
おおっ、ブレーキから足を離すとF12は駐車場の傾斜にならってズルリと前へ動き出してしまう。 あやうく別のクルマにぶつけるところだった。
油断していた。F12はDCTなのだ。
気を取り直して左足をブレーキペダルに乗せてアクセルを吹かしてみる。
まだ慣れないのでアクセル開度とDCTクラッチのつながるポイントがわからない。
アクセルをすこし多めにあおりながら、ブレーキを緩めてF12を動かす。
もう少し排気音は低いほうがいい。
いま、まわりに人は居ないが迫力のあるF12の排気音が駐車場に響いている。ラジエターファン(多分ラジエターファン)の音もかなり大きい。
こうなると手早く車庫入れしたいところだが、何せ最初の車庫入れである。ぶつけるわけにはいかない。
まわりに人は居ないようだが、もしどこかに居るのであればしばしこの騒音をご容赦願いたい。
DCTで傾斜地の車庫入れは面倒だなぁ、と思いながら何度か前進後退をおこないF12を車庫と正対させる。
あとはただまっすぐバックするだけだ。
左右のドアミラーも問題なく車庫の中が見通せる位置にある。
ここで右側メーターに映し出されているバックモニターを見る。
さっきからカメラ映像が映し出されているのは横目で見えていたが、しっかり見るのは初めてだ。
「なにこれ?…」