「台風とF12 その2 ポリバケツ」
雨が弱くなってきたところでコンビニに入った。
振り返るとホイールハウスの中やドアシルには泥というか砂粒のようなものが付いているのが見える。乾いたらもっとはっきり見えるだろう。
クルマは汚れたら洗えば良いのだ。海沿いの道を走れば、吹き上げられた海水が水たまりに混じる。こういう場合は濡れているうちに車体下からルーフまでたっぷり水をかけねばならない。洗車するのは後でも構わないが水をかけて塩分は流しておく。(じつは先般、ケルヒャーを買いました)
コンビニののぼりはたたまれている。店員がモップで床を拭いている。客はだれも居ない。
さぁこのあとどうするか。むかしに比べて道路の冠水は増えたように思える。時間あたりの降水量が増えたのか、道の排水が悪くなったのか。
コンビニを出て走り出したとたん、青いポリバケツが道路に飛び出してきた。
「ニュース映像そのものやんか!」、
そういえばむかし、高速道路のトンネルでポリバケツを踏んだことがあった。
かなり前方を走る大型車からなにか落ちたのが見えた。弾み方から見て軽くて柔らかい物だろうと思った。トンネルの中なので急ブレーキや車線変更はしたくない。第一、ゴムボールのように弾んで転がるのでよけようがない。ぶつかったとしても重大なダメージは受けないだろうとアクセルを緩めながら転がってくるのを待った。
近くなるとやはりポリバケツだった。トラックのドライバーが洗車用に車体したにぶら下げていたものが飛んだのだろう。
「ボンッ」、
という音とともにわたしの営業車の車体下に挟まったのがわかった。そして、
「ゴーッ」、
いう音を発したまま引きずっている。
割れたか変形してわたしの営業車の下にはさまったのだ。アスファルト上を引きずっている。 とれるか、外れるか、と待ったがなかなか音と微振動はやまない。
トンネルの中では停止するわけにはいかない。時間にして10秒くらいだろうかトンネル出口にたどり着き営業車を路側帯に止めた。
営業車から降りて車体下を確認するとエンジンの真下に青いポリバケツが挟まっている。樹脂の解けた匂いがしている。手が届かないので、試しにバックしたら簡単に外れた。
F12の前を飛んでいくポリバケツを見送りながら、そんなむかしの出来事を思い出した。
F12でポリバケツはさんで走るのは恥ずかしいなぁ。
それはさておき、雨は再び猛烈に降り出している。もしかしてこのF12の行く先がどんどん雨が強まっているのだろうか?
歩道からザーザーと滝のように泥水が流れ出て、車道50メートルくらいが冠水している。この泥水は左手の公園から流れ出ているのだ。
車道を覆った泥水をよけるためクルマはセンターラインをまたいで走らなければならない。対向車と交互に譲り合って泥水の冠水部分を走り抜ける。
でも、この深さはヤバい。水深は車止めの高さより深そうだ。おそらく今、F12のエアダムはこの泥水をかき分けているはずだ。