フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「カーオーディオ、むかしばなし」

前回、F12のオーディオのことを書いたのでカーオーディオのむかしばなしをすこし。

わたしが勤めていた会社の営業車は基本的にカーオーディオなんて付いていませんでした。基本的ということは例外もあってえらい人の営業車(営業部長とか取締役とかの営業車)はオーディオが付いていました。(そういう営業車はたいていクラウンやセドリックでした)。

わたしのような下っ端営業マンに与えられるのは1000ccから1800ccのクルマ。近隣の自動車ディーラーに見積もり競争させて買っていたそうです。で、当然ながら廉価グレードばかりで装備なんて何もない。オーディオといえばAMラジオだけ。

当時、ちょっとグレードが高いとアンテナが電動で出てくる(ラジオのスイッチを入れると自動的にアンテナが出てくる)クルマがありました。そういう電動アンテナのラジオはFM/AMラジオでした。

手動のアンテナはふつう運転席側のフロントピラーについていて、窓を開けて自分で引っ張りだします。アンテナは排気ガスとかで汚れていて、うっかりさわると手が汚れる。営業車の中でコンビニのおにぎりやパンで昼食にしますが、ラジオを聞きながら食べようとアンテナをさわると手が汚れて凹んだものでした。

ある時なんの偶然か、カセットデッキAM/FMステレオ付きの営業車が入ってきました。ボーナス時期とかのいわゆるお買い得キャンペーン用グレードと思われるそのクルマがなぜ導入されたかはわかりませんでした。営業同士で、よほど売れ行きが悪かった処分品か、注文ミスで困ったディーラーが叩き売ったクルマか、と色々ウワサしあいました。

幸運にもわたしにそのクルマが回ってきたのでとても晴れがましい気持ちになったのを覚えています。

早速、営業車にカセットテープを持ち込んで聞きながら走りました。 ほとんどカセット聞きっぱなしでずっと運転。

で、気づいた。オーディオを聞くとクルマとの関係は希薄になる。クルマの運転を楽しむならオーディオもラジオも聞かない方がよい、と。

これ今でも同じ考えであります。もっともいまは生活の仕方もクルマの使い方も変わったのでラジオもオーディオ、場合によってはテレビも使うようになりましたが…。

 

営業車で走り回っていた当時、ラジオの交通情報をずいぶんたよりにした。NHKなら毎時何分と何分、ニッポン放送なら何分ごろ、TBSラジオ、文化放送…。当時はカーナビなんてものはなく、渋滞情報はラジオか道路の電光掲示板、ハイウェイラジオくらいだった。そういえば県警毎に渋滞情報ラジオを幹線道路の一エリアで受信させたり、電話サービスで流していたりしていた。もっとも携帯電話代がかかるのでよほどの渋滞でなければ電話をかけることはなかった。

むかしの渋滞情報は精度が悪くて半信半疑なところがあった。今はかなり正確で信頼に足る。渋滞を抜け出る時間もまぁまぁ合っている。

何度がひどい渋滞に巻き込まれた。そうした渋滞は自然渋滞ではなく事故渋滞か工事渋滞だった。 何分たっても全然、動かないとドライバーが表にでてくる。

「どうしちまったんだろうな。まったく」、

出てくるのは自家用車のドライバーではなく営業車とかライトバンなんかのドライバーばかりだ。

大型車のところにいくと無線をやっているので事情を知っていたりする。大型車のドライバーも勝手知ったるもので、近づいて行くだけで窓をあけて大声で原因を教える。

見ず知らずのドライバー同士だが、「困ったなぁ」、「急いでのによぉ」くらいの会話をするだけで気がまぎれる。

今はナビゲーションもあるしテレビも見られる。スマホをもっていれば大抵のことは調べられる。便利になったものだ。