フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「SL550(231前期型)の細部について4 550のV8エンジン」

前回は東京モーターショーの話しにかこつけてずいぶんと脱線してしまった。今回からSL550に復帰します…ということで、今回はSL550のエンジンについて。

今のSLは4種のエンジンバリエーションがあるが、このブログではAMGについては除いて記述する。231前期型の、

SL350はV6気筒 3,498cc ツインターボで出力は225 kW(306 PS)6500rpm トルクは370 Nm (37.7 kgm)3500-5250 rpm

SL550はV8気筒4663ccツインターボで出力は320kW(435PS)5250rpm トルクは700Nm(71.4kgm)1800-3500 rpm

 

現在発売されている231後期型の、

SL400はV6気筒 2996ccツインターボで出力は270kw(367ps)5500-6000rpm トルクは500Nm(51kgm)1800-4500rpm

SL550はV型8気筒4,663ccツインターボで出力は335kW(435PS)5250rpm トルクは700Nm(71.4kgm)1800-3500 rpm

前期型から後期型になって350から400になった。現在の400はエンジン音も勇ましくなって、通常のエコモードでも2300rpmくらいから吠えはじめる。走行モードをスポーツやスポーツプラスすると、「これSLじゃないだろう」、と言いたくなるくらい騒々しい。

SLの350(400)のV6エンジンと550のV8エンジンの違いは、クルマの味わいにも大きな差になって現れている。その理由は別の機会にくわしく書こうと思う。

SL550のV8エンジンはSクラスの主要エンジンで大型乗用車用に極力スムーズに回るようにしつらえられている。レブリミットも6000rpmから。F12は5500rpmくらいから急激に上昇する感じがする感じがあるが、550はそうした特別な盛り上がりはなく平穏そのもの。

車重に対して大きなトルクがあるからSLの車体は素早く反応する。エンジン音はクォー(実際にはもうちょっと濁音が混ざる。クォーとグォーの間くらい)と非常に穏当な音しかしない。フェラーリのようにエンジン音が大きくなってクルマが動き出すのとは正反対だ。

かようにエンジンはおとなしく存在感はあまりない。一方で車体はエンジンのアウトプットに対して素直に反応する。

隠れた存在で面白さはほとんど感じないが、このエンジンが如何に運転の疲労を軽減してくれるか、他のクルマに乗ったあと実感する。他のクルマ(小型車だったり、スポーツタイプのクルマだったり、ハイブリッドだったり)から乗り換えるとその安楽さにほっとする。

「やっぱり一番イイわ。これが…」、

そう思ってしまう。

 力はアイドリングから3000rpmくらいが豊富で、それ以上回してもあまり変化はない。SLの走行モードは「エコ」がデフォルト。2速発進で普通のアクセルワークなら2200rpmくらいで3速にシフトアップ。それ以降は1800rpmくらいでシフトアップしていく。たくましいエンジンが少しだけ存在を感じさせながらしずかに回っている。

「大人しいけど力はあるぞ。そんなに主義主張はしかいけどな」、

そうクルマが言っている気がする。

ただ、ひとつ…おことわり。

おしなべて静かな日本車の車外エンジン音に比べると輸入車はすこしうるさい。SLの排気音はSクラスセダンよりちょっと勇ましく仕立てられている。だから騒々しくないというのは、あくまでスポーツカーとしての、という注釈が付くと考えていただきたい。

SLはオープンに出来る。大きなエンジン音を立てて存在を誇示するよりこの程度のうるささの方が落ち着いてドライブできると思う。

ちなみにこのエンジン、冷却ファンの音がすこし目立つ。信号で停まっていると前方からファンの音が聞こえる。低くボーッと唸るその音は遠くで響く暴走族の直管マフラーの音に似ている。(ちかごろバイクの直管マフラーの音なんてあまり聞きませんが…)

こういう時、アイドリングストップはむしろ邪魔だ。停止するたびにエンジンが止まり、チュイーン、グォーンという音とともに始動する。ちょっと興ざめだ。

このアイドリングストップ、停止すると直ちに作動する。ブレーキの踏み加減にかかわりなく停止、速度ゼロとともにストップ。ブレーキを深めに踏込んで作動、浅めであれば作動しない、とか細やかな設定はナシ。ゆえに安全確認の一時停止も作動する。

だから歩道の手前で停止して作動、車道に出て走ってくるクルマをやり過ごすときもまた作動。チュイーン、グォーン、チュイーン、グォーンの繰り返し。まことに鬱陶しい。

でもこのアイドリングストップ、燃費には効果があって、一般道の燃費はかなり良くなる。

SL550は信号の多い一般道ではわたしの運転の仕方でリッターあたり6.0km/Lくらい。アイドリングストップを使わないと5.2km/Lくらいに落ちる。

この0.8kmの差を大きいとみるかどうかは人それぞれだと思うが…。