フェラーリ試乗させてくださいの巻4「フェラーリ458イタリア試乗」
セールスマン氏が戻ってきた。
セールスマン氏は458の後継車種が近いうちに発表され458がオーダーストップになるという。
フェラーリは注文してから納車まで一年近くかかる。新型の発表と注文受付、生産開始を見越してオーダーストップをかけねばならない。458を試乗して買う買わないの決断をするのは今しかないのだ。今日458に試乗するのは良いことだ。
飾られたF12を見る。458のオーダーストップが近いから458の後継車種の注文受付までF12はそれに代わるキャラクターになるのだろうか。価格からいってそれなりに差があるし、そのあたりの販売政策ってどうなってるのだろうか、などといらぬ想像をめぐらす。
セールスマン氏は試乗の準備をするといって出て行った。暖気をしてクルマをディーラー前に回すのに10分かかるという。ひとりになって落ち着いてF12を見る。
F12の実車を見るのは今日が初めてだ。第一印象は、「でかい!」ということだ。特に車体後部のボリューム感が大きい。テールエンドの高さがわたしの腹のあたりにくる。F12はルーフの高さをのぞくと458に比べカマロやムスタングのような高さ方向のボリュームを感じる。
F12は458にくらべて約91mm長く5mm広く60mm高い。でも印象は数値以上の大きくなった感じがする。
車幅1942mmは広すぎだ。これでは機械式パーキングに入らない。
最近のクルマの車幅は大きくなりすぎていると思う。衝突安全性や走行安定性から車幅が大きくなっているのだろうが、1800mmくらいが使い勝手を考えれば上限だと思う。
まず458に試乗した。アイドリングの時のエンジン音は意外とおとなしい。走り出して視界が広いのに気付く。前がよく見える。左右のフロントフェンダーの峰が見える以外はウインドスクリーンの下端の向こうはアスファルトだ。
フロントフードがほとんど視界に入らないのは最近のクルマの常だけれど、458はドライバーの着座も低いのでファミリーカーのボンネットが見えないという印象とは感覚が異なる。低い位置でありながら前がよく見えるのだ。
この視界の感覚はどこかで見たような気がすると思っていたら、ジェットコースターの最前列の視界に似ているんだと気がついた。
走り出してスピードを上げると自分の足下、アクセルとブレーキを踏んでいるかかとのあたりにアスファルトが流れ込んでくるような気がする。
そしてステアリングを回して回頭する動きも足下で発生する。ほとんどロールせずに回頭して路面の凹凸にフロントタイヤがよく動いているのが伝わってくる。
何度かミッドシップのクルマに乗っているけれども、その特徴である前進した着座位置と回頭性の良さがこれほどはっきり感じられたのは458が初めてだった。
エンジンの存在は直後に感じる。音も振動も大きす
ぎないが常にエンジンの存在が消えない。
やっぱりミッドシップのクルマだと強く感じる。
前後にクルマが走っている試乗コースではこのくらいの印象しか感じられなかった。
しかし458は目立つ。横断歩道を渡るおばさんもこのクルマが普通じゃないクルマでないことをことを見抜く。
ディーラーに戻り、今度はF12に試乗する。