フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「F12 内装について」

今回はF12の内装について。

フェラーリの内装の印象は華奢というか、柔らかな感じがする。

例えばサンバイザー。表側は本革(内装に使われている本革と同じと思われる)で裏側はスウェードで縫われている。

厚みはうすく、鏡と交通チケットかカードを差し込む薄いポケットがあるだけ。鏡を照らすライトはない。

サンバイザーの形を作る外形にワイヤーが入っていると思われるがそれ以外の部分はパンヤが入っているだけだ。最近のサンバイザーは厚みがあってガッチリしたものが多いがF12はその正反対。

本革とスウェードを縫い合わせる針ピッチは大きく、糸も太くてザックリした縫製で仕上げてある。イメージとしてはデニムの縫製に近い感じがする。

わたしは縫製の知識はまったくないがこのサンバイザーの部分、縫製技術としては簡単なのではないかと思う。表の本革と裏のスウェードをただ貼り合わせるだけ。革同士を強く引っ張って縫い付ける必要もないし、縫製後に強い力が加えられることもない。シートの縫製とはまったく違うと思うのだ。

 

 

ドアポケットも薄い。

ワイヤーと思われる芯が入っているが厚みはうすくポケットの中間辺りを引っ張るとフニャっと伸びる。壁掛けのキルティングのポケットのような印象だ。

まちがってもこのドアポケットをつかんでドアを閉めたりしてはいけない。繰り返すうちにほころびるか伸びるかするだろう。

しかしドアポケットとして機能上の問題はない。わたしはここにミニタオルを入れるくらい(雨が降った時用)しか使わないからドアポケットの幅や深さに不便はおぼえない。

サンバイザーとドアポケットを本革で作ったのはフェラーリの生産台数が少ないからではないか。

樹脂成形にすると金型代の回収が大変だし、モデルチェンジの対応もしにくいだろう。一つ一つ作る手間はかかっても縫製の方が合理的なのだと想像する。

 

その他の部分の革の印象について書く。

ダッシュボードやステアリング、センターコンソール、ドアなど各部に本革が張られているがメルセデスやBMW、アウディ、日本車とどうも違う。

わたしが知っているのはドイツ車と日本車だけ。イタリアやフランス、英国車はこういうのが普通なのかも知れない。

マイナス曲面の革のシワのよりかたが違う。

一種の寄りシワと言うか、ダブつく一歩手前のようなシワが出ている。そしていかにも人の手で張ったようなある種の精度の悪さがある。

精度の悪さとは例えば、型で圧迫して張りつけたような感じがしないとか、端から徐々に張っていって最後の部分のつじつま合わせようのようなシワや凹凸がある、とかを指す(上手く表現できないなぁ…)。

さて、F12のこれらがクルマの本革貼りとして上等なのか、そうでないのかは、わたしの知識ではわからない(知っている方、おられたら教えてください)。

 

 

コメントありがとうございます。お正月明けにいただいたご要望と合わせて、お答えすべく下書きをしております。(上手くまとまるか…、頑張ります)