フェラーリのブログ

フェラーリに関わった顛末

「SL550(231前期型)の細部について」

SL550(231前期型)の細部について書こうと思う。現行の後期型との違いも分かる限り書いていくつもりです。

では…まずオープンエアについて。

シフトレバー後ろのスイッチを引き上げるとルーフが開き、押し下げると閉まる。開閉時間はおおよそ15、6秒かと思う。前期型は停車時しか作動しなかったが、後期型は停車時にスイッチを押せば走り出しても作動を続けるようになった。

これは便利な機能だ。赤信号だからとスイッチを押したら青に変わって前のクルマが走りだしSLはまだルーフ開閉中で置いてきぼり後ろは渋滞というひんしゅくをかう事態にならないからだ。

実はSLに乗りはじめてすぐこうした事態になった。以来、近所の赤信号の秒数を記憶して、赤信号に変わった時にだけルーフを開閉するようにした。

SLのメタルトップは幌にくらべて遮音や遮熱もよい。SLは全車種ルーフがガラス製。マジックスカイコントロールパノラミックバリオルーフ(長い名前だなぁ)はそのガラスをスイッチ一つでほぼ不透明に出来る。興味深いシステムだがクローズドの時まで天井から外光を取り入れる必要はないと思って私は注文しなかった。

前期側はマジックスカ…を装着しない場合、外観はガラスのままで内側はルーフライニングで塞がれていた。後期型は遮光ロールカーテンが付くようになった。ロールカーテンを巻き込めば明るい光りが雨の日でも差し込む。後期型の方がお得感がある。

オープンにしウィンドウを全て上げてウンドディフレクターを上げると風の巻き込みは殆どない。だからと言って紙一枚のチケットなんかをダッシュボードにおいておくと浮き上がって内装のどこかのすき間に落ちてしまうし、パナマ帽をフワッとかぶっているくらいだと上を向いた途端に飛んでいってしまうから気をつけた方がいい。自動車雑誌でほとんど風は巻き込まないなどと言っていてもそれは程度ものの話しなのだ。

SLのトップはアルミ製だが実際の重量はかなりあるようで、オープンにする(ルーフをトランクルーム内に収納する)とステアリングの反応が良くなりコーナーリングのロールが軽くなるのが分かる。ルーフの重量がトランクルームに収納されることで、SLの重心が下がるためらしい。

ルーフをしまい込み大きなトランクリッドが閉まった時は、「ドッシン」という重量感がSLを揺らす。作動する時の音は静かでキシミ音もない。これまでこの電動トップの動作がトラブったことは一度もない。

メタルトップが静粛性は高い。薄い幌だと雨の時、傘をさしているような雨音がするけれどもSLのメタルトップはそんなことはない。もっとも通常のクローズドボティに比べれば遮音性などは落ちる。

土砂降りの雨や台風の横殴りの雨のなかでも雨漏りは一度もない。ただオープンカーだから可動するルーフの雨仕舞いと、Aピラーの雨仕舞いが分断されている。ドアの開け閉めの時、この雨仕舞いの分断が水滴のボタ落ちの原因になる。SLはルーフ側の水滴を一時溜めるよう工夫されていて普通のオープンタイプより優秀だが、窓枠付きのセダンより見劣りする。オープンモデルだから諦めるしかない。

オープンにするとエアコンが自動調整される。風量や吹き出し口なんかが色々変わるようだ。良かれと思って色々調整してくれるのだろうが、あまりありがたみは感じなかった。

寒い時に襟元に温風を送るエアスカーフというものも装備されている。寒気を感じる中、オープンにする趣味は無いのであまり使う機会はないが、実際にかなりの暖かさを襟元に感じる。ただ、吹き出し口が、後頭部の真ん中(アントニオ猪木の延髄斬りのところね)だけだからぼんの窪だけが暖まる。寒さを感じる肩のあたりまで暖気が及ぶと快適だと思う。

エアコンの冷房能力は高いとはいえない。ゴーゴーと唸る割には冷えない。総じて欧州車は冷房能力が日本車に劣ると思う。逆に暖房は問題ない。吹き出し口ちかくだけが暑いという未熟さもない。ちなみにグローブボックス内にもエアコン吹き出し口があって車室温度と同じになる。それにどれほどの意味があるか不明だが。

オープントップの良さは意外や掃除のしやすさだったりする。トップを上げて、ウィンドウ類を下げ、エアコンを全開にして、車内をミニ毛ばたきで撫でればホコリは飛んでいってしまう。振り返ってみると走っている時より掃除する時にオープンにしている時間の方が長いかもしれない。