「ガソリン5リットルください」
F12のガソリンが少なくなり不慣れな都内でガソリンスタンドを探してうろうろしている、のつづき。
リモコン受光部がフロントウインドウ下端中央にあり、リモコンを肩の高さまで持ち上げながら操作しなければナビが反応しない。やりにくいなぁ…。と、ぎこちなくスクロールするナビ画面でガソリンスタンドを探していたら近くにあるではないか。この先の大きな交差点を左に折れて2、300メートルで左側にスタンドがあると表示されている。
さっそく発進する、この辺りにあるはずが…。え〜っ、また閉鎖されてる。黄色い鉄網で閉鎖されている。ほんの数日前までやっていたかのような気配だ。
がっくし…。どこもかしこも閉鎖ばかり。
確実にあるガソリンスタンドは…。思い浮かぶガソリンスタンドはいくつかあるのだがかなり遠い。数キロはあるだろう。なるべくこの近くで探したい。…と検索すると次に近いスタンドは…逆方向だ。
左折を繰り返して行儀良く方向転換している場合ではない。人通りの多い道路で何度もハンドルを切り返してF12をUターンさせる。いまは一滴でもガソリンを無駄にはできないのだ。
…で、ガソリンスタンドやってた。ホッ、閉店してなかった。
久しぶりに現金で20リットル給油した。ガソリンレベルメーターは3つまで上がった。F12のタンクの4分の1にも満たない量だ。地元に帰ってすぐ満タンにしてやろう。
ガス欠エンコの悪夢から解放され、たまってた小便を出した時とおなじくらいホッとしてなんて晴れやかな気分だ。
ガス欠の恐怖を味わったのは何年ぶりだろう。 実際にガス欠なったのは前回書いた一度だけだが、ガス欠寸前になったことはいままで何度もある。
営業車ならば会社のお金でガソリンを入れられるがプライベートではそうもいかない。
二十代三十代はお金の余裕はなく10リットルずつ補給するのが普通だった。
「満タン!」、
なんて一言でスタンド員に注文するなど豪気なことだった。
昔はどこかドライブに行こう(といってもおおよその目的地か方面を決めるだけの行き当たりばったりのドライブだ)。 走る距離はおおよそ何キロ、…で自宅近くのガソリンスタンドで走行距離に見合った量だけガソリンを入れる。15リットルとか20リットルとか小刻みに入れる。
向かった先の景色や道路が気に入れば、もうすこし先に行ってみよう、と未知の道を開拓して走る。折り返し地点が伸びると自宅に帰り着けなくなる。行った先で見つけたスタンドで10リットルを足して走る。
残量警告灯が点くのも慣れていれば平気。点灯したところでトリップメーターを押して距離をはかり始める。
まだ50kmは走れる、まだ40kmは走れる、と指折り数えて走る。
そのうち上り坂でも下り坂でも点灯しっぱなしになる。煌煌と点灯し始める。
もう少しで自宅だ、というところに来て財布の中に残った一枚の千円札で5リッターだけ補給する。スタンド員には、
「原付かおまえ!」、
って顔をされるがおかまいなし(今はセルフスタンドばかりでそんな気遣いはいらない。良いことだ)。
5リッターを入れても警告灯は消えない。そんなのが普通だった。
帰宅してF12の取扱説明書を読み返す。
「リザーブに達するとインスツルメントパネルに警告灯が表示され、ディスプレイには航続可能距離が10秒間表示され、以後8km毎に繰り返されます。さらに後続可能距離が短くなると距離表示ではなく、『Limited cruising range』という表示に切り替わります」、
ん? さっきはそんな表示はまったくなかったぞ…。最後の一個のレベルメーターが赤く点灯したのであわてたがどおやらそれほどガソリンは減っていなかったらしい。
写真、暗くてすみません
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